「僕は最後まで人を信じます。そして、最後まで自分がこの世に生きていたという証しを立てて逝きたい」
7月19 日、北海道教育大学の講演会に招かれた北洋建設(本社:北海道札幌市)の小澤輝真社長(46)は、大学生を相手にこう語った。「最後まで人を信じる」という言葉の背景には、同社が元受刑者や障害のある人を積極的に受け入れ雇用しているからだ。わが国の犯罪事件の実態を見ると全犯罪者数の約3割の再犯者によって、全犯罪事件数の6割の犯行が引き起こされている。
父である先代の教えと実践を引き継ぎ、元受刑者を受け入れる。これまで受け入れた受刑者は500人以上。うち9割はいなくなった。「仕事になじめず多くの人が去っていった。しかし、それでも僕は彼らを受け入れる」という。
小澤社長は、脊髄小脳変性症(SCD)という病を抱えている。進行性の難病だ。医者からは50 歳までしか生きられないと宣告を受けている。医者に余命を宣告されたときは落ち込んだ。
「生きているうちにできる限りのことをやろう」
小澤社長は現在も、全国の刑務所を回って受刑者のための採用面接に駆け回っている。
(湯朝 肇)