人と歴史

原始福音で魂を覚醒させたいー伝道者 手島 郁郎

『生命之光』という月刊誌がある。「原始福音キリストの幕屋」が毎月発行する雑誌ですでに847号を数える。その雑誌の最後のページに「我らの信条」と見出しが付いた欄がある。その中の項目を拾い上げてみると、「我らは日本の精神的荒廃を嘆き、大和魂の振起を願う」「我らはキリスト教の純化を願うが、日本の他の諸宗教を愛し、祖師たちの人格を崇敬するものである」と綴っている。

息子を亀田藩の名君にー真田幸村の娘 御田の方

秋田市の南約30キロ、由利本荘市の岩城亀田に観光名所として天鷺村がある。江戸時代、2万石亀田藩のお城があった。この亀田藩の基礎を作るのに大きな役割を果たしたのが御田の方、真田信繁(幸村)の五女である。

地域で顕彰、小学校の道徳教育にー真言宗の僧 観賢

弘法大師空海の生誕1250年の今年、大師号下賜に尽力した空海と同じ香川県生まれの僧・観賢が顕彰され、地元小学校では道徳教育に取り入れている。 空海は835年、62歳で亡くなるが、それは「入定」で、奥之院で瞑想しつつ諸国を巡り、衆生の救済に尽力しているという大師信仰が広まる。「大師」は朝廷が高僧に贈る尊称で、866年に清和天皇が最澄に宣下したのが最初。

「栄冠は君に輝く」誕生秘話ー文芸家 加賀 大介

夏の高校野球、甲子園球場に流れる大会歌の「栄冠は君に輝く」は、球児たちを奮い立たせ、ファンの胸も熱くする。作曲は3年前のNHK朝ドラ「エール」の主人公・古関裕而、作詞は文芸家の加賀大介(1914~73)だ。歌詞は一途に白球を追い掛ける若人の姿が生き生きと表現され、自身が球児だった作詞者の想いを伝えている。

キリスト教精神で教化図るー樺戸集治監3代目典獄 大井上 輝前

北海道の近代化は開拓の歴史から始まった。屯田兵の存在はよく知られるが、実は内陸の幹線道路、屯田兵舎の建設、水源地の整備など基盤整備に従事していたのは監獄に収容されていた囚人たちによるものだった。 北海道空知管内の月形町には現在、旧樺戸集治監本庁舎がある。集治監とは明治時代の囚人の収容施設(監獄の一種)。

世界初、無線電話を発明、電気試験所長 鳥潟 右一

携帯電話は現代人の必需品だが、その基礎技術を発明したのが秋田県生まれの鳥潟右一である。 世界で初めて無線に音声を乗せる電話機を発明し、離島や船舶の航行に大きな利益をもたらす。東京と上海間の無線通信にも成功し世界をあっと驚かせたが、電気試験所長の時に40歳で病没し惜しまれる。今年は没後100周年で記念行事が催された。

近代的社会事業確立に足跡ー民生委員の父 林 市蔵

淀屋橋の南詰、川のほとりで和服姿の座像が、人と車の行き交う通りを見詰めている。この記念像は第15代の大阪府知事で「民生委員の父」として知られる林市蔵である。林は大正7(1918)年、府知事時代に、社会の片隅で必死に生き抜こうとする人々を救済するため、全国初の方面委員制度を創設。これがやがて現在の民生委員制度に発展、全国的な社会救済制度にまで発展した。

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