日本共産党は3月3日、青年・学生向けの「入党の呼びかけ」を発表。翌日の赤旗に1面を使ってその内容を掲載しています。タイトルは「未来をつくる若い世代のみなさんへ-日本共産党への入党を心から呼びかけます」とありますが、その内容は旧態依然たるもの。青年・若者を引き付ける大きな「物語」(ナラティブ)ではありませんでした。
「呼びかけ」の要点を挙げて、批判的に解説してみます。< >内が呼びかけです。<自民党政治を大もとから変える「ホンモノの改革」を進めるのか。いま日本の政治は大きな分かれ道に立っています><選択的夫婦別姓をはじめジェンダー平等をめぐっても大きなムーブメントが起きている>
ここで「ホンモノの改革」とは資本主義社会を転覆して社会主義・共産主義社会を実現することです。選択的夫婦別姓やジェンダー平等の実現は「修正」に見えますが、「ホンモノの改革」への橋渡しなのです。すなわち、人権の強調によって既存の関係性を断ち切って社会秩序を破壊し、社会主義社会実現へ導くのです。
<いま9条を踏みにじって、海外で戦争をする国づくりが、猛烈なスピードで進んでいます。日本が大軍拡を進めれば、相手も軍拡を加速し、軍事対軍事の悪循環に陥ってしまう。これが一番危険ではないでしょうか>
今日的な日本とアジア、世界の最大の脅威は中国の覇権主義的行動とそれを支える超限戦(「戦争と非戦争」「軍事と非軍事」という全く別の世界の間に横たわっていたすべての境界が打ち破られる在り方をいう)です。
日本が軍拡を進めるから相手(中国)も軍拡を加速するのではありません。誰もが客観的情勢として認識できるものです。中国の一方的な大軍拡によって、日本をはじめ周辺諸国が抑止力を高めるために防衛力を増強しているのであり、「呼びかけ」の主張をまともに受け入れる青年・学生は少ないでしょう。
<旧ソ連などが自由のない国になってしまったのは、いろいろな原因がありますが、最大の問題は、国民が自由と民主主義を経験したことのない遅れた国から革命が始まったことにありました>
とてもついていけない内容です。旧ソ連が自由のない国となってしまった主要原因はレーニンです。前衛党論が民主集中制という異様な独裁を生み、政権を握れば「思想・信条の自由」なき一党独裁体制に突き進むのです。