悦花繚乱 人物歳時記

<39>詩人・塔和子さん ハンセン病と闘った70年

ハンセン病と闘った詩人・塔和子さん。瀬戸内海の島の療養所で、亡くなるまで70年にも及ぶ隔離生活を余儀なくされた。絶望的な療養所生活の中から生み出された作品は、力強い言葉で、生きることを肯定的に描き、人間の尊厳を問い続けた。

<38>映画監督・野村芳太郎さん 監督業に生涯尽くす

私が『砂の器』という映画を観たのは、封切りから歳月を経たリバイバル上映だった。四季の風景とともに登場人物の父子の哀しい心情、主人公のピアニスト・和賀英良が作曲・指揮するフルオーケストラの組曲『宿命』の調べに、彼自身の抗い難い「宿命」が重ね合わさり、壮大なスケールと荘厳な旋律に感動が渦巻いた。

<37>指揮者・朝比奈隆さん 指揮者人生を全う

93歳で亡くなる2カ月前まで、現役指揮者として指揮台に立った巨匠・朝比奈隆さん。ベートーヴェンやブルックナーの名演奏で世界的な評価を受けている。

<36>作詞家・放送作家 永六輔さん マルチな才能で活躍

私が最初に〝エイロクスケ〟という人物を認識したのは、浅田飴のテレビCMだった。「せき・こえ・のどに浅田飴」の甲高い独特の声と早口の喋り方は、子供心に強く印象に残った。

<35>女優・エッセイスト 吉行和子さん 目標は生涯現役

吉行和子さんの訃報に触れ、毎月ご一緒していた点々句会を思い、出版されるたびに贈呈いただいたエッセーを読み返しながら、なんて素敵な女性だったのだろうと。いま心にぽっかりと穴があいたよう。

<34>日本画家・東山魁夷さん 日本の様式美を表現

歌舞伎座の新開場10周年を記念して、2023年4月から新しい緞帳(どんちょう)『朝明(あさあ)けの潮(うしお)』が掲飾された。たまたま最前列で観劇していた私は、思わず声を上げた。

<33>作家・僧侶 瀬戸内寂聴さん 一期一会の瞬間、懸命に愛せ

私の書棚の真ん中には、瀬戸内寂聴訳『源氏物語』全十巻が並んでいる。講談社創業90周年記念企画として出版され、とても煌びやかな装丁で美しい。しかも、一巻ごと、扉に寂聴さんの直筆サイン入りという、私の宝物だ。

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