日本国憲法施行から77年となる憲法記念日の3日とあって全国で改憲派、護憲派が講演会やシンポジウムを開催した。
改憲派の民間憲法臨調(代表=櫻井よしこ)などは「今国会で憲法改正の発議を!」をテーマに、東京都千代田区の砂防会館別館で「第26回公開憲法フォーラム」を開催。会場に約800人、オンラインで約1万2800人が参加した。

岸田首相は3年連続でビデオメッセージを寄せ、憲法改正について、いたずらに議論を引き延ばしたり、選択肢の提示すら行わないのは「責任の放棄」だとの認識を示した。その上で、政治改革の議論と併せて憲法改正について「真摯に議論を行う姿を国民の皆さまに見せたい」と意気込んだ。
主催者を代表し講演したジャーナリストの櫻井よしこ氏は、「戦後日本のねじ曲がった国家の在り方を根本から立て直す」のが憲法改正への願いだとし、政治家が改憲せざるを得ないような世論をつくっていこうと呼び掛けた。

日本最西端で台湾と国境を接する与那国町の糸数健一町長、自民、公明、日本維新の会、国民民主の各党幹部らも出席し、あいさつした。
「第55回新しい憲法をつくる国民大会」(東京都新宿区)では改憲派の国会議員や評論家らが厳しい安全保障環境だからこその早急な憲法改正の必要性を訴えた。
主催者を代表して講演した新しい憲法をつくる国民会議の清原淳平会長は、近代民主主義国家の憲法には大規模な自然災害や外国からの攻撃・侵略などの国家非常(緊急)事態への各種対処事項が明文化されているが、「日本国憲法にはこうした条項の明文が一切ないことを国民は疑問に思うべきだ」と強調。
戦争放棄と交戦権否認を規定している憲法9条をどう改正すべきかという課題については、①独立国としての陸海空軍の保持とその行使②内閣総理大臣の陸海空軍指揮権③外国からの攻撃・侵略があった時の対処――などを掲げることを提案した。
国会議員を代表して登壇した平沢勝栄元復興相(自民)は、北朝鮮による拉致被害が出ているのは、「諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という前文があるからだとし、「日本国を根底から立て直さなければいけない」と訴えた。

沖縄でも「憲法シンポジウム」(主催:沖縄県神社庁、日本会議沖縄県本部など)で元統合幕僚長の河野克俊氏が「台湾有事は沖縄の有事」と題して記念講演を行った。
護憲派の「憲法大集会」は3日、東京都江東区の東京臨海広域防災公園に約3万2000人が参加(主催者発表)する中で、開催された。
「国民は改憲を求めていない」とする集会には立憲民主、共産、れいわ新選組、社民各党の幹部が出席した。
近年、中国やロシアのウクライナ侵攻で護憲派の依り代となっている憲法9条の在り方ががぜん注目を集めている。