給食好き教師が町長とバトル
学校給食をこよなく愛する教師を描いたドラマ『おいしい給食』の劇場版3作品目、完結編となる『おいしい給食 Road to イカメシ』が現在公開中だ。
中学校教師の甘利田幸男(市原隼人)は、無類の給食好き。一見、硬派な姿勢を醸し出しているが、実は給食を食べたい故に教師になり、給食を食べたいがために学校に来ていると言っても過言ではない。
1989年冬、函館に転勤となって1年がたつ。生徒の粒来ケン(田澤泰粋)とは日々いかに工夫し、おいしく給食を食べるかを競う食のライバルとなった。粒来の工夫する食べ方に甘利田は敗北を重ねている。そんな中、食べたいメニューがあるのだが、献立表にいまだ見ることはなかった。
忍川中恒例の学芸会では、各クラスが創作劇を発表する。甘利田がシナリオを書いた裁判劇だ。甘利田は生徒たちの気持ちが入らない演技に活を入れようと檄を飛ばすが、全く理解できない生徒たちは「見本を見せて」と要求。甘利田が演じて見せると生徒達は感動し、学芸会に対する姿勢が変わっていった。

ある日、残食が課題となった忍川町で、忍川中は給食完食のモデル校に選定される。PTAは班体制で食べることを禁じたり、時間内に完食できなければ延長して完食させたりする改革案を提示してきた。だが、それは町長選挙で再選を目指す等々力宗太町長(石黒賢)が政治利用しようとするアイデアだった――。
ドラマ「おいしい給食」は2019年から始まり、シーズン2、劇場版2本と回を追うごとに人気が高まっていった作品だ。昨年にはシーズン3が放映された。
監督はドラマシリーズでもメガホンをとった綾部真弥。

主演の教師・甘利田役の市原は本作について、「人生の糧となる古き良き言葉もふんだんに使われている。どんなに滑稽な姿で笑われたとしても好きなものを好きと胸を張って人生を謳歌できる自分を信じる力を持ってほしい。打ちひしがれてうまくいかない時もこの作品が皆さんにエールを送っていると思ってほしい」と語っている。(森 啓造)