天皇、皇后両陛下は6月22~29日の日程で英国を国賓として公式訪問された。第2次大戦中の両国が敵対した時期を挟み、約150年にわたって交流を重ねてきた。
25日午後(日本時間同日夜)、両陛下はロンドン中心部で国賓としての歓迎式典に臨まれた。英王室の伝統にのっとり、両陛下はチャールズ国王夫妻とそれぞれ馬車に乗り、華やかにパレードされた。

同日夜、バッキンガム宮殿で開かれた国王夫妻主催の晩さん会に臨まれた。国王は両陛下に日本語で「英国にお帰りなさい」と語り掛け、「日英両国のパートナーシップの核心にあるのは、深い友情です。それは、暗い時代の教訓から生まれた、国際ルールと制度の重要性に対する相互理解に基づくものです」と述べた。

天皇陛下も英語であいさつ「日英両国には、友好関係が損なわれた悲しむべき時期がありました」と先の大戦に言及。「お互いを理解し合う努力を弛みなく続け、永続的な友好親善と協力関係を築いていくことを心から願っています」と述べられた。
また、故エリザベス女王の招待から約5年を経て訪英が実現したことを「誠に喜びに堪えません」と述べた上で、「苦難の時を経た後に、私の祖父や父が天皇としてこの地を訪れた際の思いがいかばかりであったかと感慨深く思います」と、日英関係の進展に大きな役割を果たした上皇陛下の訪英時の心情に触れられた。

天皇陛下は、この日贈られたガーター勲章を身に着け、皇后陛下はティアラを着用したローブデコルテ姿で会場に入られた。
両陛下は期間中、現地で経済、文化、科学技術、教育などの分野の施設を視察し、関係者らと交流された。


27日午後、記者団の取材に応じられ晩さん会など、国賓として臨んだ行事を振り返り、「大変心温まるひとときを過ごさせていただいた」と話された。かつて留学した英国の再訪を「思い出の地に戻ってきたという印象を強く持ちました」と述べ、「雅子にとっても英国は思い出の地ですので、二人で立つことができたのは本当に幸せ」と話された。
皇室と英王室の交流は1869年、当時のビクトリア女王の次男アルフレッド王子が遠洋航海の途中に訪日し、明治天皇と面会したのが始まりとされる。