映画『フォールガイ』

スタントの世界が垣間見える迫力のアクション

主人公は、超一流のスタントマンであるコルト・シーバース(ライアン・ゴズリング)。有名俳優トム・ライダー(アーロン・テイラー=ジョンソン)の代わりにスタントを務め、仲間からの信頼も厚く、自信に満ち溢れていた。高所から落下するスタントでけがを負う「事故」までは――。

「事故」の後、すっかり自信喪失したコルトは業界から去り、献身的に支えようとしてくれた恋人ジョディ・モレノ(エミリー・ブラント)の連絡すらも断って鬱々とした日々を過ごしていた。1年半がたったころ、知り合いのプロデューサーから一本の電話が入る。かつての恋人ジョディが初監督を務める作品で復帰してほしいという内容だった。

現場に急行したコルトはいきなり、現場で難しいとされていた車で8回転半もするスタントを成功させる。ジョディは監督としてコルトを頼もしく思う一方、一人の女性としては複雑な思いを抱いていた。

元恋人ジョディの初監督の映画を成功させたいという思いから、行方不明になった主演俳優のトムを探しすことに協力する。ナイトクラブで麻薬密売人との接触や、車で身元不明の男たちとの戦闘など数々の困難をくぐり抜けた末、たどり着いたホテルの一室で死体を発見。奮闘する過程で、1年半前のスタントで起きた「事故」の真相も知ることになる。罠に嵌められて殺人の濡れ衣を着せられたコルトはどうするのか――。

再会した元恋人ジョディ(エミリー・ブラント、右)の初監督映画でコルトは復帰を果たす©2024 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.
再会した元恋人ジョディ(エミリー・ブラント、右)の初監督映画でコルトは復帰を果たす©2024 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.

本作では、視聴者が知ることの少ない映画の裏側やスタントマンたちの献身的な姿が描き出されている。監督のデヴィッド・リーチは、元スタントマン。「私の映画業界でのキャリアは、20年間スタントマンとしてパンチを受け、ワイヤーで吊られ、車で突っ込み、火を付けられ、全部門のスタッフと密に仕事をしてきた年月の上に成り立っている」と映画への愛を語った。

昨今の映画ではCGを多用することも多いが、本作は全てのアクションシーンを実際に行っている。監督は「ある意味忘れられた技術になってしまったスタント技術を取り入れ、スタント業界の精神に忠実なアクションを観客に見せたかった」と語る。画面越しに映画製作現場の熱意が伝わってくる映像が見どころだ。

8月16日より全国公開。(村松澄恵)

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