ダンスが兄弟の絆強める
パリ五輪で正式種目として採用された「ブレイキン」。米国の路上ダンスバトルから発展し、ダンスを通し互いにリスペクトし、心を通わせ争いを無くしていくことが目的で生まれた。ブレイキンを通して対立していた兄弟と家族の絆を取り戻す映画「ザ・ブレイキン」が全国公開される。
父親マーティン(ルシアン・ムサマティ)と暮らす兄弟トレイ(ケルビン・クラーク)とベンジー(カラム・シン)。幼い頃、母を亡くした交通事故がもとで対立し、兄弟は目を合わすこともなくなった。優等生のトレイは大学進学を目指して勉学に励む一方、ベンジーはブレイキンに夢中で実力もあり注目される存在だが、父親に反抗して家にも寄り付かない。
ベンジーは家族で祝うはずだった父の誕生日会をすっぽかし、連れ戻しに来たトレイの言葉に耳も貸さない。2人はブレイキンで対戦し決着をつけようとするが、兄トレイがキレキレのダンスパフォーマンスを披露し周囲を驚かせる。兄は密かにブレイキンの腕を磨いていたのだった。その様子がSNSであっという間に拡散されると、英国代表のコーチ、ケイト(ハナ・ジョン=カーメン)から連絡が入る。「世界選手権のイギリス代表の選考会に兄弟共に来ないか?」と言うのだ。
とんでもないビッグチャンスだが、父に受け入れられるわけもなく、2人は父に内緒で選考会場へと向かう。すべてを投げ出して代表チーム入りを目指し、厳しいトレーニングに耐え、最終選考に残る。それと同時に、兄弟の関係もゆっくり改善し始めていた。
チームは再三の危機を乗り越えて勝ち進むが、決勝には無敵のフランス代表が立ちはだかる。個性を出し合い、チームとして協力しなければ、勝ち目はない。果たして2人は、チームを世界一に導けるのか。

ベンジーを演じたカラム・シンはパリ五輪を目指していたイギリスの強化選手。トレイ役のケルビン・クラークも8歳からダンスチームに所属し、英国でトップクラスのダンサーとして知られている。現在は競技から離れ、モデルとしても活動。この2人が兄弟役でダンスバトルを繰り広げるシーンは圧巻だ。
監督は「ストリートダンス TOP OF UK」のダニア・パスクィーニとマックス・ギーワ。振付を担当したのはオランダのブレイキンチーム「The Ruggeds」のメンバーであるニーク・トラア。劇中に登場する日本のブレイキンクルー「BODY CARNIVAL」は、パリ五輪でブレイキンの日本代表選手である福島あゆみも所属している。
9月13日より新宿ピカデリーほか、2週間限定で全国公開。(森 啓造)