言葉と人を繋ぐ音楽
人工知能(AI)と“言葉”がテーマの創作ミュージカル『AI-WRI-EN』(エイリアン、脚本・演出:山﨑聡一郎)のキャストによる『AI-WRI-EN LIVE』が8月31日、東京都豊島区のCafe&Diner Offzaで上演された。
観客から数㍍の舞台に総勢9人の俳優陣がそろい、第一部は『ジェーン・エア』『ムーラン・ルージュ』など名作ミュージカルの楽曲を披露した。演奏はピアノとキーボード、そしてマイクと歌声だけ。爆音のロックなナンバーから少し大人な曲、リズミカルなポップスまで、満席の会場一体が包まれた。映像作品ではもちろん、大舞台の劇場でも得られない体験だ。
『ノートルダムの鐘』の『石になろう』を披露した山﨑は、一瞬にして悲壮な表情を浮かべた主人公カジモドになり切る。その鋭い眼光と歌声に、マイク1本で人に鳥肌を立たせることができるのかと圧倒された。

第二部では、ミュージカル『AI-WRI-EN』の劇中歌が演奏され、同じ役を演じた俳優同士によるデュエットなど、この公演でしか見られないパフォーマンスとなった。劇中に登場するAIデバイス“AI-WRI-EN”も出演した。
合間のトークでは、初演から徐々に曲を追加したこと、一部の曲で歌詞やタイトルにChat GPT(生成AI)が書いたものを使用していることなど、驚きの舞台裏も明かされた。
ミュージカル『AI-WRI-EN』は、多忙ゆえに自分の言葉が書けずにいる脚本家の詩月と、そのパートナーで脚本執筆に意欲を持つものの筆力に自信のない暁葵による二人芝居。AI-WRI-ENの助けを借り、暁葵が一つの脚本を書き上げたことで、2人の関係に変化が生じていくという物語だ。

山﨑は「AIが進化するにつれて、今作の内容もすぐに古くなってしまうかもしれませんが、今のうちに多くの方に見ていただければ」と意欲を語った。
同作は、10月に再演予定。音楽サロンScale(東京都板橋区舟渡)で10月5、6、9、11、12日の5日にわたって公演する。チケットは近日発売。(辻本奈緒子、写真も)