21年目 咲き続ける〝華〟!!
誕生から21年。今回数年ぶりに鑑賞の機会を得た『CLUB SEVEN』。今年のサブタイトルは、「another place」。劇場は、有楽町「よみうりホール」。9月28日から今月13日までの上演。
〝部長〟こと玉野和紀が今回も脚本・構成・演出・振付け全てを手がけている。タップの第一人者でありながらミュージカルの脚本や構成、歌などもこなし、タップ以外のあらゆるダンスの振付けも手がける、日本屈指のオールラウンダー。
『CLUB SEVEN』は、多彩なジャンルの曲全てにハイセンスな振りや細かなアレンジを施し、タップやオリジナルのスケッチ(コント)などを巧みに挟みながら織り上げた、唯一無二の華やかなエンターテインメント・ショー。コロナ禍の影響を受け、上演できなかった時期が長かったが、今回やっと本来の形に近い、9人という出演者。
いよいよ幕が開いた。この日はたまたま2回公演。1回目の幕が降りてそれほど時間が経っていなかった。実際、序盤はダンスの切れが良くなかったり、アドリブでも「疲れた」のせりふがあったが、そこはプロ集団。進むにつれてどんどんヒートUPしていった。
観客は、数秒に1回訪れる笑いや、数分おきの早変わり。魅力たっぷりのキャラクターなどに、感情はまるでジェットコースターかウォータースライダーに乗せられたよう。
『CLUB SEVEN』名物の、後半の「50音順ヒットメドレー」。今回はそれだけでなんと95曲!! よって、彼らは1公演で優に115曲を超える曲を歌い踊る。
しかもこの公演は、日替わりでプログラムにAとBがあるため、さらに幾つかの作品を覚えている。2公演ある日はその2倍を演じるわけで、一体彼らはどれだけの知恵や体力、記憶力を駆使しているのか、凡人には想像すらつかない。
加えて本作品のすごいトコロは、アドリブが多い事。随所でクイズやお題が与えられ、出演者の答えや反応は、観客に受けなければならない。それが誰に当てられるか分からない為、キャストは気が気ではなく、突然のことに覚えていた振りやせりふが吹っ飛んでもおかしくはない。

出演は玉野の他、レジェンドメンバーの西村直人、吉野圭吾、東山義久。当初若手だった吉野と東山も、すっかりベテラン。他、何度目かの大山真志、北翔海莉。初登場が林翔太、留依まきせ、鈴木凌平。
やり切った彼らの姿に、終演後ジェットコースターを降りた感覚の観客は、オールスタンディングオベーション。拍手はいつまでも鳴り止まなかった。
これだけの事を成していながら、部長の玉野のコメントは「皆さんの心をスッキリとリセットしてもらえるアイテムとして走り続けたい」と控えめ。謙虚なものだ。(星野睦子)