死生観の変遷たどる
世界で人気を博している日本の前衛芸術家・草間彌生さん(95)の展覧会『私は死を乗り越えて生きてゆきたい』が、東京・新宿の草間彌生美術館で10月17日から開かれている。現在も精力的に活動を続ける草間さんの、1940~50年代の絵画から最新作まで50点以上を展示、紹介する。
見どころは、草間彌生作品の特徴であるカラフルな作品の数々が空間全体に展示された3階ギャラリーだ。80年代後半から現在までに創作された作品が一堂に会する。
中でも目を引くのは、インスタレーション作品《再生の瞬間》(2024)。天に向かって伸びていく木のようにダイナミックな動きが表現されている。
手前の鮮やかな赤が印象的な作品である「命の炎―杜甫に捧ぐ」(1988)や奥の壁一面に展示された色彩あふれる作品群には生や死に関連したタイトルが付けられており、詩的に表現されたタイトルと合わせて、点や水玉、網目などの抽象的なモチーフに草間さんの死生観や宇宙観を感じられる。

5階の屋上ギャラリーには、代表作の一つでもある水玉模様の黄色いかぼちゃの彫刻《大いなる巨大な南瓜》(2024)が展示されている。
同展は、来場者が1階から5階まで上っていくことで、草間さんの持つ「死生観の表出とその変遷」をたどることができる構成となっている。
アクセスは、東京メトロ東西線「早稲田駅」出口1から徒歩約7分、都営地下鉄大江戸線「牛込柳町駅」東口から徒歩約6分。開館日は木~日、祝日。開館時間は午前11時~午後5時30分で日時指定の完全予約・定員制(各回90分)となっている。

観覧料(税込)は、一般1100円、小中高生600円で、来館当日の各入場時間30分前まで購入可能。展示替え期間や館内メンテナンス期間、年末年始などは休館するため、事前に同館ウェブサイトを確認する必要がある。
来年3月9日まで。(竹澤安李紗、写真も)