古代ローマが舞台の復讐劇
2000年に公開された「グラディエーター」の25年後を描いた続編『グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声』は、前作に引き続きリドリー・スコット監督がメガホンを取った。
ローマ帝国が栄華を誇った時代。しかし残虐な兄弟皇帝のゲタ(ジョセフ・クイン)とカラカラ(フレッド・ヘッキンジャー)は、飢えに苦しむ大勢の民のための政治を行っていなかった。
そんなローマで平穏な暮らしを送っていたルシアス(ポール・メスカル)は、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻で愛する妻を殺され、捕虜として拘束される。
ある日、いつものように奴隷を集めていた謎の奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)は、ひときわ腕の立つルシアスに注目し、剣闘士(グラディエーター)として用いることに。それは皇帝に近づき、ある野望を果たすためだった。
ルシアスは、復讐心を胸に力のみが物を言うコロセウム(円形闘技場)で待ち受ける戦いへと踏み出していく。しかし、真に復讐を果たすと誓った相手はさらに強大であった。
ロケ地となったマルタでは、全長約8㌔のエリアに宮殿、古代ローマの町の大部分を実際のセットで再現。コロセウムは実物の4分の1から3分の1という大きさで作られた。アクションシーンの撮影ではカメラを数カ所に配置して同時に回す手法が取られ、俳優たちも緊張感ある演技になったという。
オープニングのシーンでは2005年のリドリー監督作品『キングダム・オブ・ヘブン』で作られたエルサレムのセットを再利用したことも明かされている。壮大な音楽や、本作のために製作された200着以上の衣装なども見どころだ。
復讐劇ではあるが、国を治める者がかくあるべきかを問い、現代にも通じるテーマが描かれている。
11月15日より全国公開中。R-15作品。(森 啓造)