悪役の誕生秘話とその裏の深い友情
「オズの皆さん、悪い魔女は死にました!」
名作小説『オズの魔法使い』で、魔法と幻想の国オズを苦しめる〝悪い魔女〟エルファバ(シンシア・エリヴォ)が倒された。
オズの住民たちがこの朗報に歓喜する中、〝善い魔女〟グリンダ(アリアナ・グランデ)は、エルファバと育んだかつての友情の日々を語り始める。
時は、少女ドロシーがオズの国に迷い込む時より、ずっと前に遡る。
生まれ持った緑色の肌と魔力で、両親や周囲から忌み嫌われて育った孤独なエルファバ。反対に、誰からも愛されて育った人気者グリンダ。二人は魔法を学ぶシズ大学の寮で偶然ルームメートになる。
性格も育ちも真逆の二人。はじめこそ衝突していたが、お互いの優しい心を理解するうちに絆が芽生え始めたのだった。
ある日、エルファバは、皆が憧れる偉大なオズの魔法使いに特別な力を見いだされ、彼のいるエメラルドシティに招待される。
グリンダと共に向かった先で、オズに隠され続けていたある秘密が明らかに。秘密を知った二人は、自らの信念と向き合い、運命を変える大きな決断を迫られる。
深い友情で結ばれていた二人が、別々の道を歩むことになった理由とは――。
悪役と語られた人物は、青春時代をどのように過ごしたのか? そんな問いから始まる〝悪い魔女〟の誕生秘話を描いた本作は、20年以上にわたってブロードウェイで上演されてきたミュージカル『ウィキッド』が基になっている。全世界で6500万人以上の観客を魅了してきた同作が、舞台表現の枠を超え、大スクリーンに驚異の映像美で生まれ変わっている。
大学のパーティーで全員から笑い者にされたエルファバに向き合いつつも、人気者になりたい気持ちとの間で揺れ動くグリンダの心の機微が、丁寧に描かれている。二人のかけがえのない友情が生まれる瞬間は、あらゆる世代の心を打つだろう。
ミュージカルの演出や音楽で観る人を楽しませるエンターテインメント超大作でありながら、「本当の友情とは何か」を訴えている。
主演は実力派俳優と名高いシンシア・エリヴォと、世界的スーパースターのアリアナ・グランデ。ジョン・M・チュウが監督を務め、製作陣にはマーク・プラットなど映画と舞台の垣根を超えた超一流キャスト・スタッフが集結している。
3月7日より全国ロードショー。(竹澤安李紗)