雪と灯り幻想的な世界
暮れなずむ空に、刻々と変化する雪景色と青の世界。「入ってたんせ」と招く可愛らしい子供たち。
500年近い歴史のある秋田県横手市のかまくらは今年、雪に恵まれ、市内で60基が造られた。そんな中行われた「横手の雪まつり」には、昨年比8万人増の約25万人が訪れた。
かまくらから漏れる灯りがぬくもりを感じさせ、ミニかまくらのロウソクが幻想的な光景を醸し出す。昭和11年に訪れたドイツの建築家ブルーノ・タウトが絶賛したのもうなずける。
雪まつりの起源は、門松を燃やして災難を除き子供の成長を願った左義長行事と、良い水に恵まれるようにと井戸のそばに雪室を造り水神様を祀った民俗行事、そして子供の雪遊びが融合したと言われる。昭和40年代後半から横手の雪まつりとして観光行事化した。

横手市役所本庁舎前から横手公園まで歩くと、2基のかまくらの背後にライトアップされた横手城の天守閣が見える。夕陽が沈み始める午後5時過ぎから、かまくらが青く染まり、大勢のカメラマンがシャッターを切っていた。
午後6時頃、無料の会場巡回バスに乗り二葉町かまくら通りへ。6基のかまくらは昔ながらの雰囲気。訪れた人は、町内の子供と親から甘酒と豆餅をもらい、会話を楽しんでいた。

ところで、まつりは陰で支える人なくしては成り立たない。南小学校を日中に通ると、児童が作った約500基のミニかまくらが補修されていた。前日のロウソクの火で溶けた天井部分を児童やPTAの保護者、ボランティアの人たちが一つずつ直しているのだった。
心なしか、夜のミニかまくらが一層光り輝いて見えた。
(ペンとカメラ・伊藤志郎)