吉田悦花のわん句にゃん句

ねこに来る賀状や猫のくすしより(317)

 わが家の猫に、動物病院のお医者さんから年賀状が届いた。「くすし」とは、動物病院の医師のこと。人間には病院の先生から年賀状が来ることはないのに。今は、猫や犬に年賀状が来る時代になった。

老犬をまたいで外へお正月(316)

 日中は、部屋の通り道にどたりと横になって動かない。老犬になったら、やんちゃ盛りで、うるさくつきまとっていた頃が嘘のようにおとなしくなった。

座布団を猫に取らるゝ日向哉(315)

日当たりのよい座敷か縁側に座布団を敷いて座っていた。ちょっと所用に立って戻ると、日が当たってふかふかの座布団の上に、猫が心地良さそうにまあるくなっているではないか。

薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫(314)

 「雪やこんこ/あられやこんこ/降っても降っても/まだ降りやまぬ/犬は喜び/庭かけまわり/猫はこたつで丸くなる」と文部省唱歌「雪」にも歌われているように、寒さに弱い猫は、暖かな炬燵の上などに丸くなって陣取っていることが多い。

毛布嚙むガラスケースの中の犬(313)

スヌーピーで有名な漫画『ピーナッツ』に出てくるキャラクターのライナスは、青い毛布を抱える姿がトレードマークになっている。毛布があると安心するのだ。

霜の花ひとたび猫に附きて消ゆ(312)

霜の花とは、空気中の水蒸気が凍って、まるで花のような美しい氷の結晶を指す。冷えて乾燥した朝にしか見られない、はかなく美しいもの。

紐解かれ枯野の犬になりたくなし(311)

昔は、犬の紐を解いて野に放てば、喜んで全速力で遠くに駆け出していった。けれども、最近の犬は、飼い主である人間の保護下にあることにすっかり馴れてしまって、むしろ紐を解かれることを喜ばず、逆に不安を感じるのかも。

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