吉田悦花のわん句にゃん句

さまざまな恋の果なる子猫かな(327)

さまざまな恋の結果として生まれた、愛らしい子猫の姿。中には、春の狂騒曲のような激しく燃える恋もあったかもしれない。

解錠の音を待つ犬雪柳(326)

 雪柳は、柳のようによくしなう小枝に、真白い小さな花をたくさん咲かせる。葉に先立って花をつけるため、満開の様子は、ひとかたまりの雪のよう。

心臓を寄せ合つてゐる子猫かな(325)

 子猫たちが温め合うため、あるいは安心するために、お互いの心臓をぴったり寄せ合って眠っている。

遅き日や土に腹つく犬の伸び(324)

 遅き日は、春の日がなかなか沈まず、日が長くなっていく様子。太陽が傾くのが遅く、のどかでゆったりとした時間が流れる印象を受ける。

猫の恋了る木乃伊にされしごと(323)

 発情期は恋に狂った猫も、ついに恋の了りを迎えた。麻布にぐるぐる巻きにされた木乃伊(ミイラ)にされたかのように、ふぬけの状態になってしまったのか。恋の虜となった恋猫の姿をユーモラスに表現、人間の情念も浮かび上がる。

いぬふぐり咲くや「地球は青かった」(322)

 世界初の有人宇宙飛行に成功した旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリン。無事に帰還したとき、宇宙から見た地球を「地球は青かった」と述べたという。

のどをかく肢のはやさや二月猫(321)

暦の上では春とはいえ、まだ寒さが残る二月。のんびり日向ぼっこをしていた猫が、ふと後ろ肢で、のど首の辺りをすごいスピードで掻き始めた。

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