吉田悦花のわん句にゃん句

露寒や乳房ぽちりと犬の胸(307)

冷え込んだ秋の朝、朝露が光る。濡れた犬の胸の乳房のふくらみ。その生々しさにはっとさせられ、生命の息吹を感じる。

秋冷やミトンの中にゐる子猫(306)

『国際俳句歳時記 秋』(向瀬美音 企画・編集・翻訳、コールサック社発行)より。作者は、オランダのキムさん。

橅の香や犬はトリュフを見つけたる(305)

「国際俳句歳時記 秋」(向瀬美音 企画・編集・翻訳、コールサック社発行)より。作者は、フランスのシュピーさん。原句はフランス語。

草の花猫にやさしい町だから(304)

猫町というと、映画のロケ地などで知られる広島県尾道市や福岡から船で渡った猫島こと相島が、私には思い浮かぶ。

蟷螂に負けて吼立つ小犬かな(303)

蟷螂とは、カマキリのことで、秋の季語。

猫と生れ人間と生れ露に歩す(302)

露は、秋の代表的な季語のひとつ。たまたま生まれ合わせた露のような儚い世、露のようにきらめく日々を、猫も人間も命あるかぎり、ひたすら歩んでいこう。

七夕や犬も見あぐる天の川(301)

七夕は、天の川をはさんで、年に一度会う織姫と彦星の伝説に由来する。旧暦7月7日に行われる日本の伝統的な行事。

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