吉田悦花のわん句にゃん句

柿落ちて犬吠ゆる奈良の横町かな(309)

「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」は、正岡子規が生涯で詠んだとされる約20万句以上の俳句の中で、最も有名な句の一つ。

猫も野の獣ぞ枯野ひた走る(308)

山口誓子の句に「土堤を外れ枯野の犬となりゆけり」がある。この句は、その猫版といえるかも。

露寒や乳房ぽちりと犬の胸(307)

冷え込んだ秋の朝、朝露が光る。濡れた犬の胸の乳房のふくらみ。その生々しさにはっとさせられ、生命の息吹を感じる。

秋冷やミトンの中にゐる子猫(306)

『国際俳句歳時記 秋』(向瀬美音 企画・編集・翻訳、コールサック社発行)より。作者は、オランダのキムさん。

橅の香や犬はトリュフを見つけたる(305)

「国際俳句歳時記 秋」(向瀬美音 企画・編集・翻訳、コールサック社発行)より。作者は、フランスのシュピーさん。原句はフランス語。

草の花猫にやさしい町だから(304)

猫町というと、映画のロケ地などで知られる広島県尾道市や福岡から船で渡った猫島こと相島が、私には思い浮かぶ。

蟷螂に負けて吼立つ小犬かな(303)

蟷螂とは、カマキリのことで、秋の季語。

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