吉田悦花のわん句にゃん句

しろたへの鞠のごとくに竈猫(319)

 しろたへとは「白妙」のこと。こうぞなどの樹皮から取った繊維で織った白い布、それで作った衣服をいう。転じて白さそのもの、雪や雲や霞や月などの白いもの、衣類全般にかかる枕詞として使われる。

羽子板を犬咥え来し芝生かな(318)

 羽子板は、正月の遊びの羽根つきに使う道具。魔除けやお守りとして女の子に贈られ、健やかな成長を願う縁起物である。

ねこに来る賀状や猫のくすしより(317)

 わが家の猫に、動物病院のお医者さんから年賀状が届いた。「くすし」とは、動物病院の医師のこと。人間には病院の先生から年賀状が来ることはないのに。今は、猫や犬に年賀状が来る時代になった。

老犬をまたいで外へお正月(316)

 日中は、部屋の通り道にどたりと横になって動かない。老犬になったら、やんちゃ盛りで、うるさくつきまとっていた頃が嘘のようにおとなしくなった。

座布団を猫に取らるゝ日向哉(315)

日当たりのよい座敷か縁側に座布団を敷いて座っていた。ちょっと所用に立って戻ると、日が当たってふかふかの座布団の上に、猫が心地良さそうにまあるくなっているではないか。

薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫(314)

 「雪やこんこ/あられやこんこ/降っても降っても/まだ降りやまぬ/犬は喜び/庭かけまわり/猫はこたつで丸くなる」と文部省唱歌「雪」にも歌われているように、寒さに弱い猫は、暖かな炬燵の上などに丸くなって陣取っていることが多い。

毛布嚙むガラスケースの中の犬(313)

スヌーピーで有名な漫画『ピーナッツ』に出てくるキャラクターのライナスは、青い毛布を抱える姿がトレードマークになっている。毛布があると安心するのだ。

最新記事