吉田悦花のわん句にゃん句

徹頭徹尾機嫌のいい犬さくらさう(329)

 作家であり、俳人でもある著者の初句集『機嫌のいい犬』より。わが家の愛犬、ジョニーくんも毎日、明るく元気に上機嫌で尾をぶんぶん振ってくれていたなあ。

四月馬鹿子猫の舌のうまそうな(328)

 「四月馬鹿」は、4月1日のエイプリルフールを指す春の季語。この日は、罪のない嘘で人をかついだり、驚かせたりする風習があり、「万愚節」や「エープリルフール」とも。

さまざまな恋の果なる子猫かな(327)

さまざまな恋の結果として生まれた、愛らしい子猫の姿。中には、春の狂騒曲のような激しく燃える恋もあったかもしれない。

解錠の音を待つ犬雪柳(326)

 雪柳は、柳のようによくしなう小枝に、真白い小さな花をたくさん咲かせる。葉に先立って花をつけるため、満開の様子は、ひとかたまりの雪のよう。

心臓を寄せ合つてゐる子猫かな(325)

 子猫たちが温め合うため、あるいは安心するために、お互いの心臓をぴったり寄せ合って眠っている。

遅き日や土に腹つく犬の伸び(324)

 遅き日は、春の日がなかなか沈まず、日が長くなっていく様子。太陽が傾くのが遅く、のどかでゆったりとした時間が流れる印象を受ける。

猫の恋了る木乃伊にされしごと(323)

 発情期は恋に狂った猫も、ついに恋の了りを迎えた。麻布にぐるぐる巻きにされた木乃伊(ミイラ)にされたかのように、ふぬけの状態になってしまったのか。恋の虜となった恋猫の姿をユーモラスに表現、人間の情念も浮かび上がる。

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