吉田悦花のわん句にゃん句

猫と生れ人間と生れ露に歩す(302)

露は、秋の代表的な季語のひとつ。たまたま生まれ合わせた露のような儚い世、露のようにきらめく日々を、猫も人間も命あるかぎり、ひたすら歩んでいこう。

七夕や犬も見あぐる天の川(301)

七夕は、天の川をはさんで、年に一度会う織姫と彦星の伝説に由来する。旧暦7月7日に行われる日本の伝統的な行事。

黒猫に生まれ満月感じたり(300)

猫は夜行性であることや、瞳孔が月の満ち欠けのように変化することから、月の動物とされてきた。

朝顔の葉陰に猫の目玉かな(299)

朝顔は、秋の訪れを感じさせる花として、秋の季語となっている。夜明けに開いて昼にはしぼむ。日本人は、この花に秋を感じてきた。

日盛や村のポストを犬通る(298)

「湘子の『俳句研究』五十句のための千曲川源流吟行に参加。民宿に三泊して千曲川を遡る。川上村では、犬がのんびりとポストの横を通っていた」(「奥坂まや集」俳人協会発行より)

炎天の犬捕低く唄い出す(297)

昔、野犬狩があった。その不気味さをうまく捉えた句である。

惚けたる母に添ふ猫夕端居

「端居」は家の縁側や軒先など、風通しの良い場所で涼むこと。「母に添ふ猫」は、飼い猫ではなく野良猫かもしれない。夕方になると、いつのまにか傍にいる老いた猫。

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