『100万回死んだねこ』

『100万回死んだねこ』

福井県立図書館編著 講談社文庫 定価825円

本への愛情あふれる司書の思い

「あれ、本のタイトル、間違えてない?」と思われたかもしれないが、本書は福井県立図書館の司書たちが見聞きしたクスッと笑える言い間違いを集めた「覚え違いタイトル集」。元ネタは絵本『100万回生きたねこ』。

図書館で目当ての本が見当たらないときなど、司書に尋ねた経験のある人は少なくないだろう。しかし中には、肝心の書名がうろ覚えという人も。司書は尋ねられた書名が思い当たらない場合、相手に何度もインタビューを重ね、正しい書名を推理することになる。

本書に収録された覚え間違いのタイトルは、どれも明らかに間違っているのだが、「気持ちは分かる…!」と何だか納得してしまうものばかり。間違った書名とその答え合わせ、司書のコメントが1セットになっており、正しい書名の推理の仕方も明かされている。一つ一つの事例もさることながら、そこに付いた司書の的を射たコメントに、思わず何度も吹き出してしまった。

図書館司書といえば蔵書の整理やカウンター業務で忙しくしているイメージがあるが、主要な業務の一つに「レファレンスサービス」がある。本を使った調べ物全般を司書が手伝ってくれるサービスで、その周知が本書の目的の一つだ。例えば「ドッジボールの『ドッジ』って何?」といった疑問があれば、関連書を探して調べてくれる。

本と利用者への愛情あふれる司書の思いを、本書から垣間見ることができる。本好きを自負する人なら、覚え間違いの事例から一度タイトルを推理してみるのも面白そうだ。

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