不思議の世界へ誘う
指先でやっとつまめるほどの「豆本」から、度肝を抜くほどに大きな花まで、サイズ感が「バグった」ものたちを集めた『ミニチュア×百段階段~文化財に広がるちいさな世界~』が、ホテル雅叙園東京で3月9日まで開催されている。
会場は、東京都指定有形文化財「百段階段」。1935年に建てられた木造建築で、かつて宴などが行われた七つの部屋を、99段の長い階段廊下が繋いでいる。

階段を上って最初の部屋「十畝の間」には料理や切子、化粧道具など、8ジャンル・10人の制作者によるミニチュア作品が並ぶ。ガラスの中に生き物たちがそのまま閉じ込められたような作品を制作したのは、増永元さん。実際に海でフィールドワークを行ってから、その生物の作品づくりに取りかかっている。タコの泳ぐ姿を表現した『海藻藻場をゆく』では、作品中のタコが「唯一の成功例」といい、血管の模様や足の向きなどに拘ったと語る。

四季の草花や煙る松原の絵が描かれた「草丘の間」には、ジオラマが展示されている。新宿の大ガードの風景や横須賀軍港周辺の街並み、映画『千と千尋の神隠し』の冒頭で八百万の神々が湯屋に向かうシーンなどを再現した。

最上階の「頂上の間」はそれまでと打って変わって、展示作品のサイズが巨大に。まるで自分が小さな生き物になったかのような体験が味わえる。
同展の担当者は、「見るだけでなく体験も楽しんでほしい」と語った。入場料は当日券が一般1600円、大学・高校生1000円、小・中学生800円。(宮沢玲衣、写真も)