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人気の武将隊、豪華絢爛の本丸御殿/名古屋城

昇龍道を行く(9)  名古屋城天守閣の金の鯱“金シャチ”の高さ約3㍍の実物大レプリカが、今月下旬まで大分空港(国東市)の出発ロビーに展示されている。名古屋の観光PRの一環で、中部国際空港セントレアとの直行便のある空港で行っており、今回で8カ所目。  その名古屋城の金シャチを見ようと、地下鉄市役所駅を降り、美味しそうな名古屋めしの店が並ぶ金シャチ横丁を通って城内に。二之丸広場に行くと、甲冑姿の侍や忍者が演武をやっていた。名古屋城ゆかりの武将に扮した「名古屋おもてなし武将隊」と「徳川家康と服部半蔵忍者隊」だ。この日は「名古屋城検定」の紹介も行われ、武将が出したクイズに観客が答えている。  クイズが終わると、今度は各武将との写真撮影会。武将はみなイケメン揃いで、それぞれ50人ほどの列ができた。ツーショットを撮ってもらうだけでなく、短い会話で交流を楽しんでいる。  徳川家康公の列に付いたオーレ・クリスチャン・ネルソンさん(28)はノルウェーからのツーリスト。武将隊のことを聞くと日本語で、「とてもカッコイイです。わたし源平、幕末、戦国の歴史、侍、忍者大好き」と言う。  織田信長とのツーショットに満足げなのは静岡県浜松市から来た鈴木みな美さん(30代)。仙台の青葉城を訪ねた時、おもてなし武将隊に感激、名古屋城にもあると聞いてやって来た。「歴史は詳しくないのですが、とても勉強になります」  日本三大名城に数えられる名古屋城だが、昭和20年の空襲で、天守閣や本丸御殿などほとんど焼失してしまった。しかし、江戸時代の文献や、昭和戦前期の古写真、実測図など豊富な資料が残されていた。それを元に、約9年がかりで本丸御殿の復元工事が行われ、昨年6月に完成、公開が始まった。  本丸御殿は、徳川家康の命で尾張藩主の住居・政庁として慶長20年(1615)に建てられた。京都の二条城と並ぶ近世を代表する書院造の建造物で、13棟の建物で構成される。戦災を免れた障壁画も復元されている。  木曽ひのきをふんだんに使い、天井の装飾や柱などの飾り金具も当時のままに再現。圧巻は、彩色を付した欄間で、日光東照宮にも劣らない豪華絢爛なものだ。これら全て戦火で失われた御殿を当時のまま再現するというところに、名古屋市民の意地と誇りを感じる。  天守閣は耐震問題で閉鎖中だが、剛毅な河村たかし市長は、天守閣も木造で再建する計画を進めている。 (「昇龍道」取材班)

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